2.01.2016

赤岳と阿弥陀岳


DAY1

大寒波の週末にようやく今年の雪山を楽しめると期待を胸にふくらませながら週末を迎えました。あとは日曜日の天気次第。ヤマテンの予報は晴れ。どんな雪が待っているのか。
三田さんと二人八ヶ岳に向かいました。

当初の二人の目標は、一泊目に行者小屋に泊まり二日目に横岳、硫黄、天狗を抜けて渋の湯に抜ける事。



大寒波のあとだから行者小屋までの道のりも雪が積もって大変じゃないかと思っていたら、まるで春山のような雰囲気。これまでこんな南沢はみた事もないような状況で、いたる所で川がトレイルを横切り、トレイルが雪解け水であふれ、渡渉を難度も繰り返すような悪路でした。途中ブーツの中も水浸しになるような始末。気温がまだそれなりに暖かかったから良かったけど、厳冬期にブーツを水浸しにするなんて考えたくもなかった。





ここも池ではなくトレイルです。






シューズはサロモンのS-LAB X ALP CARBON GTX。先行する話題に興味を持ち発売後すぐに入手して履いてますが、正直これから雪山を始めようという人には余りおすすめ出来ない靴だと思います。


日本の雪山で履くには冷たすぎるし(-10cを超えるような場所では冷たすぎる)、実質的にはローカットのシューズなので、凍るような雪の斜面にアイゼンの前爪だけで斜面に立つには、足が固定されずに身体を維持することができず、足に全ての負担が来る。そのかわり、ローカットの自由で歩きやすいという良さはあるけれども、この靴が活躍出来る場所、期間はけっこう限られるような気がする。その割には値段も高いので、低山の雪山をスノーハイクで楽しむならそれ相応の低価格で良い靴があるような気がするし、ガチで日本の雪山を楽しむには機能が足りてない気がする。(他に無い靴でもあるとは思うので、機能を補完しながら使うという事もあるとは思う。)





水浸しになりながら、行者小屋につくと、大寒波のあとにもかかわらず、多くのテントで賑わってました。行者小屋も営業していて(いつから冬でも週末に営業するようになったのか?)お酒の補給も出来てラッキーでした。テントはe-Vnetのクフに、三田さんと二人。火器は去年から冬に愛用している分離式のOptimus Vegaを鍋専用機にして、三田さんの小型ストーブをお湯製造機として使用。キムチ鍋が美味しすぎて写真撮るの忘れてました。冬の床なしシェルターは何かと使い勝手が良い。お互い未来の展望について話ながら、酒が切れるまで呑んで眠りにつきました。


DAY02




日が上がる前に起きて外を見てみると星が出ている。素晴らしい一日が待っている事がわかる。


カップラーメンを食べながら考える。結露が凍ってバキバキになったテントを撤収して当初の目標通りに歩きだすか(テントの撤収が大変そうだ)、テントをおいて、空身で赤岳を回って帰ってくるか...。二人の結論はテントを撤収して歩きだす事にした。


がしかし、いざ出発というところで、シュラフの横に体温があたるような位置でおいておいたつもりのシューズがガッチガチに凍っていた。昨日濡れた水を拭いていたつもりだったが、まったく甘かった。まず足が通せない。苦労して足を凍った固い靴の中に押し込み、テントを撤収する。THREEのフロントポケットは雪がこびりついて大きく膨れ上がったクフでいっぱいになった。






地蔵尾根の上り。三田さんのクランポンも調子が悪く何度もセッティングを変えている横で凍った靴で冷えに冷えまくった足の痛みで小躍りしていた。次は眠るときには靴をビニール袋に入れてシュラフに入れる事を心に誓う。




地蔵尾根の分岐。雪が少なく、難所の馬の背も全然問題無い感じでした。




分岐点から横岳方面を見るとノートレース。誰も入っている形跡は無い。とりあえず進んでみるものの、雪が深くて膝までのラッセル状態。このまま硫黄岳まで続く事を考えると、ちょっとしんどいと思い、当初のプランを変更して赤岳に向かう。


ここからは、三田さんが撮った美しい写真になります。流石カメラマン。

トップページの写真も三田さんの写真に変更させていただきました。










阿弥陀岳























赤岳の頂上は登山客で溢れてました。




赤岳頂上直下。今年はじめての美しい雪山に大興奮が止まらない。

そのまま降りてしまうのがもったい無い。阿弥陀岳方面をよく見るとトレースも付いている。風もあまりない。絶好のコンディションにどうしようかと二人で話あって、降りないで阿弥陀岳に向かう事にした。



文三郎尾根の分岐から中山へ。





中山のコルから見る赤岳。ここから見る赤岳がまたでかくてかっこ良い。









ここを過ぎた所で出会った若いパーティが熊らしい黒い動物がすぐ近くを歩いてましたが、気がつきませんでしたか?と聞かれる。遠くでおそるおそる見ていたらしい。全然気が付かなかったというと、僕らのすぐ後ろを指差して、「ほら足あとがありますよ。」という。その指差した僕達のすぐ後ろに確かに動物の足あと。まったく二人は気がつかなかった。すぐ近くだったのに...。でも多分その動物は熊ではなくて、カモシカに違いない。昔歩いたときに、阿弥陀岳の頂上直下でカモシカを見た事があるから間違いないと思う。






阿弥陀岳



阿弥陀岳の壁のような上りは雪が深く、雪の中を泳いでいるような感じになっていく。

シンドい状況になっていくなかで三田さんは撤退。一人頂上を目指す事になった。
アックスを斜面に突き刺し、左手を南斗水鳥拳のように雪の斜面に差し込み、身体を支えながら三点支持で雪の斜面を登っていく。もう最高に楽しくたまんない。何が最高なのか?山と抱き合って登っている感じが最高なのかな...。





ようやく阿弥陀岳登頂。5年ぶりの阿弥陀岳。この日は北稜をロープを張って登っているパーティが多かった。最高の山だよ本当に。




阿弥陀岳から見る赤岳。また帰ってきたよ。




最高に楽しい山でした。帰りに見事に凍ったトレイルで尻もちつきました。

今年はこれで雪山が終わりだとは思いたく無い。