1.21.2015

台湾の山について

台湾で購入した日本統治時代の台湾の地図のポストカード。
台湾の真ん中が全て山になっています。




今回台湾の山を歩くにあたって、調べた事、知った事などを整理します。
近いのにあまり知られていない台湾の山の魅力。日本よりも大きい山々、山よりも大きい台湾人の優しさ。食も観光も含めてとても素晴らしい国です。是非機会を作って歩いて欲しい!





<はじめに>

台湾は九州と同じくらいの国土面積に日本以上の大きな山々があります。
3000mを越える山は日本には21座しか無いのと比べて、台湾には286座あり(諸説あるようですが、リンク先のウキペディアを参考にしました。)、最高峰は玉山(日本統治時代に新高山と呼ばれていた山)3,952m。イメージしてみてください。富士山と同レベルの高さの山が山脈を作っている姿を。3000mを越える山の事を台湾では高山と言います。その中の100座を台湾百岳として日本の百名山のような位置付けにしています。また、その中でも素晴らしい山を五岳、槍ヶ岳のように尖った美しい山を三尖など、細かく山を分類しています。

台湾百岳のリンク(中国語ウィキペディア)
台湾五岳(玉山3952m/雪山3886m/秀姑巒山3825m/南湖大山3742m/北大武山3092m)
三尖(中央尖山3705m/大霸尖山3492m/達芬尖山3208m)

台湾五岳中で考えると、日本人の多くの方は最高峰の玉山や雪山を登られる方が多いようですが、現地の方いわく一番お勧めは僕らも歩いた南湖大山のようです。何よりも人も少なく観光地化されていないのが良いとの事。

山脈は大きく中央山脈、雪山山脈、玉山山脈、阿里山山脈、海岸山脈などが走っています。一番長い中央山脈で全長340kmとJMTと同じ長さ、日本のどのアルプスよりも高さ、長さ共に大きい。また、山頂を目指すだけでなく、山々を縦走するトレイルやサーキットを北一段であったり、南二段などの名称がつけられています。一つのトレイルは一週間から場所によっては標準日程で10日以上かかるコースもあるようです。出来ればいつか途中補給しながら、中央山脈をロングディタンスハイクなど出来れたらなと思ったりしています。


 南湖大山に向かう森林限界を越えた稜線トレイル


 南湖大山から見る三尖の一つ中央尖山3705m


<山の特徴>

山は国土が狭い中に日本以上の大きな山がギュっとある事からも想像が出来るように、かなり険しく、〜3000mまで山は急な登りの所が多いようです。沢も世界的に有名と聞いた事があります。僕らは歩いた南湖大山は3300mでようやく森林限界に出ました。緯度が低いせいか森林限界はかなり高いようです。また日本の山の雰囲気にも近いのですが、木の雰囲気など少し異なります。日本でも北海道や東北、アルプス、九州、屋久島がそれぞれ違うように、その流れの中でまた近くて違う大きな自然が広がっています。



僕たちが歩いた南湖大山への道は大きなヒゲをはやした苔深い森から、巨木の森を越えて、稜線へと出ました。下には大きな大きな雲海が広がりました。高山に登るのに登山口から3000mを越える頂上まで二日以上かかる事から台湾の高山を登るには4日は最低でも考えておく必要があります。ベストシーズンは春と秋のようです。夏は台風が直撃する怖れがあるそうです。雪は高山の一部に積もるのみで日本程雪が長い期間山を覆っているという事ではないみたいです。


<トレイルについて>

日本のアルプスと同じように山頂を踏む稜線を歩く事が出来ます。日本以外に、長く稜線を歩ける登山が出来る場所がある事を今回はじめて自分は知りました。僕らがあるいたトレイルは歩きやすくサインもしっかりしていましたが、多分、日本や他の国同様にマイナーなトレイルは同様かどうかは分かりません。


<山小屋や有人施設について>

基本無人小屋で有人施設は山には無いようです。僕たちが見て歩いた山小屋は大きくてきれいに使われていました。長い縦走だと食料補給など受けられないのがネックになってきそうです。僕らが泊まった山小屋はマットがついた寝床、料理を作るスペースがあり、基本山小屋の周囲に水のタンクや水場が設けられています。定期的に国立公園のスタッフやボランティアスタッフが見回りにきているようです。


南湖山荘

<キャンプについて>


キャンプについては基本国立公園内であれば自由に張れると聞きましたが、国立公園のサイトには基本指定地のみと書いてあったので確証は無いです。多分、山登りに関してのみ黙認されているという事だと思います。国立公園側に後日確認をとってみようと思います。


確認をとってみましたが、キャンプOKのようですね。



<水について>


一緒に歩いた智名さん曰く山で得られる水は基本浄水が必要のようです。山小屋は雨水をためている水をタンクに集めていました。



<食料について>



 野菜をバッサバッサと切って最後になんらかのヌードルを入れていました。


 台湾のフリーズドライフード。味も濃すぎず無添加だそうです。美味しかった。

現地の登山ショップにもお湯で戻るフリーズドライフードなどは売っていました。一つ試しに買ってみましたが、味は美味しいです。現地のスーパーマーケットを見つければ色々と売っているのかもしれませんが、ある程度は日本から持って来た方が良いかもしれません。乾燥米のようなものやクスクス、オーツなどは見る事はありませんでしたが、ヌードル、ドライフルーツ関係は色々と売っていました。現地のトランディショナルな登山スタイルの人は普大きな鍋、まな板、包丁、ガラス製の湯のみまで持ってきてたのには驚きました。たくさん料理して、周りの人にも料理を振る舞っていました。それが昔ながらのスタイルのようです。新しい若い人達はヌードルなどの簡単な食事をとっていました。



<現地の登山ショップに関して>





登山友が割と都心の真ん中にあり、ガスなどの燃料、地図などを入手出来ます。ただし、地図は日本のように全て揃っている感じではありませんでした。アルコール、固形燃料に関しては売っていなかったように思います。アルコールは薬局等で入手する形になりそうです。



<アクセスについて>

山によっては、登山入口までかなりかかる所がありそうでした。ただし、僕らが歩いた登山道入口までの林道も日本で言う所の登山道となんら変わらないレベルの道でしたので、充分楽しめるかもしれません。僕らが歩いた南湖大山に関しては後日情報をアップします。気をつけないといけないのは夏の台風などで山が崖崩れをおこし通行止めになっている道もあるようです。事前に歩くことが出来るのか確認が必要です。登山道入口までのアクセスにバスが無い場合は、タクシーを手配するか、山の近くの民宿に連絡をして、登山道までの送迎を依頼する方法も相談してみるのも手かもしれません。また車が通っている所であればヒッチハイクも出来そうでした。僕らが登山道入口でバスを待っているだけで止まってくれた車がありましたし、日本よりも成功の確立がかなり高いように感じました。



<言語に関して>

英語を話せる人も多いし、人によっては日本語を話せる人もいます。
国立公園サイトには英語で問合せをしましたが、もしかしたら日本語ページを記載している国立公園や観光省であれば日本語でも問合せが出来るかもしれません。


<人に関して>

超絶優しいと思いました。最高です。山よりも大きい優しさを感じました。人に会いにいくだけでも行く価値ありの国です。


<危険に関して>

3000mを越える大きな山脈の為、高山病の対策が必要です。僕たちがあった台湾人の方でも、高山病に悩まされている方を見かけました。ゆっくりと高度を上げていく必要があります。


<地図に関して>

台湾の山は軍事的な理由なのか地図の入手が難しい。地図をあつかっているのが以下のリンク先の会社でした。実際に台湾に入って地図を入手しようと考えたら、僕らが歩いた南湖大山の地図はどの登山ショップでもソールドアウトで出版社にも在庫が無いようでした。出発前に出版社に問合せをしてみて、可能なら日本にいるうちに入手したほうが良いかもしれません。また、地図は1/50000の縮尺で、1/25000の高解像度の地図の入手に関しては各国立公園に一度問合せをしてみるのも手だと思います。


高河文化


<台湾山情報に関するリンク先一覧>

台湾の各山脈と登山道及び縦走路の説明。これを見ると台湾のトレイルの概要が読みとれる。

台湾高山の地図サイト。各縦走路にかかるコースの目安が書かれています。かなりコースの高低差が大きく、僕らが歩いた南湖大山では、このコース通りに僕らは歩く事が出来ませんでした。また一日に歩く時間を現地では約6時間ぐらいのタイムコースにしていますが、これで通常であれば8~10時間くらいは休憩いれるとかかってくると思います。僕らが歩いたのは中央山脈北一段の一部です。高低差が大きく高山病の対策もしないといけないというのもネックになってきます。

現地在住の方のブログ。日本語で書かれいる一番内容が濃く細かく台湾の山の魅力を整理して書かれています。
また右メニュー欄にある「台湾百岳路線図」内には上記の縦走路のコースマップよりもより詳細に編集されている「台湾百岳全路線図」をPDFにしてリンクしてあります。それぞれ参考にされると良いと思います。また各縦走路をよく見ると、繋がっています。各縦走路にとらわれずに、二つの縦走路を繋いで考えるとか、山脈一つを空想スルーハイクするのも楽しいです。場所によっては登山口に温泉があります。

ある台湾人登山家のブログ。台湾の縦走路を独自のランク付けをされていてとても参考にさせていただきました。
台湾の山ブログを探っているとZ-pack背負っているULスタイルの方のブログなども見つけたりしました。


<主要な国立公園のリンク先>

僕たちが歩いた南湖大山がある国立公園の入園エントリー入口。台北から麓の街宜蘭(イーラン)まで高速バスで45分程。宜蘭からバスで2時間で南湖大山の登山口まで入れる。

第二の高峰雪山がある国立公園。日本語サイトあり。一緒に歩いた智名さんは、太魯閣國家公園と雪覇国立公園をお勧めしていた。

最高峰玉山がある国立公園 日本語サイトあり。


<パーミットについて>

現在日本に流れている情報の多くに、「高山を登るにはパーミットの入手と共に現地ガイドを雇わないといけない。」と書かれています。僕らも今回台湾の高山を歩くにあたって、これらの情報を調べて、半ば絶望的になる事もありましたが、丹念に調べてみると、「高山だからといって現地ガイドを雇わないといけない」という事はありませんでした。ソロでも台湾の山を楽しむ事も出来ます。ただし、パーミットの入手が難しい。ここではパーミットの入手について可能な範囲でのアドバイスを書いてみたいと思います。今回僕たちは年末年始の時間の無い中で、最終的に途中まで一緒に山を歩いた山と道の取引先のA.C.S.の智名さんの助けを借りてパーミットの入手を行う事が出来ましたので、分からない事や不明点などもあります。ご了承ください。現時点で分かっている事を記します。


<パーミットの入手方法について>

パーミットの種類は甲級、乙級と登る山によってパーミットの種類も異なるようです。

以下リンク先に台湾観光課の説明があります。

登山する場合の注意事項


3000m以上の高山に登るには警察書へ入山許可書の申請と、国立公園内の高山であれば、国立公園へ入園許可書の申請と二種類が必要になります。以下それぞれ調べて分かってた範囲と対策についてまとめます。



<国立公園への入園許可書の申請について>


今回私達は太魯閣國家公園入園許可書を申請しました。申請はwebサイトから行えます。

申請時の流れは、1.メンバー登録 2.入園申請となっています。

1.メンバー登録の画面は以下のようになっています。


大きな問題点は以下の二つ


1.台湾現地の携帯電話番号

2.台湾現地在住の非常時の連絡先

上記のメンバー登録で大きな問題になるのは以下の通り。通常台湾現地に友人、知人がいるか、現地ガイド会社を雇わないと台湾の高山に入る事が出来ない形になっています。これはあえて外国人を排除する為にというよりも、台湾人に摘要している内容が外国人には難しいという事ではないかと思っています。それぞれの解決方法について自分なりに考えてみました。


1.台湾現地の携帯電話番号


僕は実はむりやり自分の携帯番号を入力(一桁たりないので電話番号にもならない)して登録をしてしまいましたが、これは正式なやり方ではありません。どうにか台湾に入る一月前に事前に台湾の携帯番号を入手出来ないかと調べてみました。以下は実践したわけではありませんので、確証はありません。糸口の一つになればと思っております。


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SIMフリーの携帯電話に使える台湾用のプリペイドSIMカードを国内で入手出来ます。自分もそうですが、SIMフリーの携帯電話持っていない場合はSIMフリーの携帯電話をさらにレンタルするという方法もあわせて検討をしたいと思います。先程販売しているヨドバシカメラに問合せをしてみたところ、購入後に自宅にプリペイドSIMカードと一緒に電話番号も届くそうです。初回チャージ分の有効期限が180日間ですので、旅行計画も時間をかけて立てられます。


2.台湾現地在住の非常時の連絡先



1.台湾の宿泊先のスタッフに相談して、非常時の連絡先として使わしてもらう。連絡先に必要になるのは、氏名/IDナンバー/住所/電話番号等
泊まる前に宿泊先を調べる段階で宿泊予定先にメール等でやりとりをするのが良いと思います。登山の前後泊まるという事も考えた方が良いと思いますし、また非常時の連絡先となりますので、実際の日本の非常時の連絡先をそのスタッフの方にお伝えしておくのが良いと思います。

2.現地のガイド会社やツアー会社等にパーミットの修得を依頼する。別個費用はかかるかもしれませんが、パーミット自体には申請手数料が警察書への届け出で10元(40円くらい)がかかるだけですので、入山料と思いガイド会社等に問い合わせてお願いしてみても良いのではと思います。また現地の事なども色々と相談にのってもらえるのではないかと思います。今回の山であるガイドさんと親しくなりましたので、後日確認してみたいと思います。

国立公園のスタッフにもメールで確認をとっており、台湾に友人、知人がいなければ、これらの方法もありと返信をもらっています。



2.入園申請(太魯閣國家公園の場合)

一日に入園出来る上限人数が決まっています。大体50~100人。

7日~30日前に予約が出来る。(直前申請は厳しそうです。)
申請時に登山計画書を入力する必要があります。

申請画面の一部は以下のようになっています。


申請後にEntry Capacity and Availabilityページから自分の申請が申請中Pending cases)となっているか確認をする事。自分は申請出来ているとばかり思っていたら申請が出来ていないという事がありました。分からない事はメールで国立公園に英語で問合せをしてみてください。


数日後に問題がなければ申請が受理されます。受理されたら今度は現地警察書に登山許可書の申請をする必要があります。



<警察書へ入山許可書の申請>

僕たちは現地在住の一緒に歩いた智名さんに入山許可書の申請を行ってもらっているため、詳しい事は分かりません。分かる範囲で以下に記します。概要に関しては登山する場合の注意事項をご参照ください。


台湾警察署のwebページ


アプリケーションフォーム等もwebサイト上にあるようです。
国立公園の入園許可さえ得られれば問題無く申請が出来ると思うのですが、日本人単独で登山許可書を修得された方がいれば情報などお寄せいただけるとありがたく思います。

入山許可書は一部コピーを持ち、コピーは、入山口にある登山ポストに入れておく必要があります。








台湾の方はとても親切で、国立公園への問合せに対しても迅速に丁寧に答えてくれました。まずは国立公園に問合せをするのが一番だと思います。または、観光局、警察署へも問い合わせしてみても良いと思います。



追って台湾日記をざっくりと記す予定です。