7.09.2013

裏岩手温泉ハイク 中編

裏岩手のハイクも3日目に入る。
気持ち良い朝、美しいブナ林を岩手山に向けて歩き出す。





ハイクローグ撮影中の豊嶋さん。
デジカメでさらっと映像を撮られるスタイルが軽やか。出来上がりが楽しみです。


岩手山に至る稜線の地熱地帯。地面が確かに暖かい。
危険:地下空洞、落下というのが恐ろしい。


予想以上に稜線の下は雪が深く、手持ち装備では抜けるまでの時間が読めないので、バックパックをデポして、岩手山まで途中走りつつピストンする事にした。


宴会、温泉、ハイク、雪、ランと色々と楽しい。


途中雪の深い急斜面などもあり気が抜けない。全装備を置いてきてしまったので、ペットボトルをアックスとして使う豊嶋さん。「ボトルアックス」と命名。僕のイロハスのボトルはクしゃっと潰れてしまってボトルアックス利用不可でした。仕方が無いので、手刀を使ってズゴックのように斜面を登る。


歩いてきた山々を振り返る。
稜線は地面が出ているが、森に入ると雪と薮に遮られて、さながらトレイルを探すオリエンテーリングのような状態だった。


岩手山に向けての最後の急斜面をみんな思い思いに滑って楽しむ。
だいぶシュースキーも慣れてきた。


岩手山山頂 お鉢巡りは止めて戻る事にする。岩手山は流石に登山客も多かった。
帰る頃には日が一番高くなり、直射日光が厳しくかなりばてる。日射しは容赦無く体力を奪う。日を遮る傘が欲しかった。デポした場所で休憩をして出発する事にする。
かなり疲れもたまってきたので、頭のスイッチを切り替えて、軍隊っぽく歩いていく事にする。頭のスイッチを上手く切り替えられるとどこからともなく体力が湧いてくる。「点呼1.2.3出発進行!」
 


ヒャッホー!




デポした分岐から三石山荘までの道は目印もはっきりとしていてた。





三ツ石山荘 薪ストーブのあるこれまた素晴らしいロケーションの避難小屋。
裏岩手の山々の避難小屋はどこもレベルが高すぎる。温泉が僕らを待っているので、先を急ぐ事にする。


トレイルはふかふかで、素晴らしいブナ林。夕焼けが差す最高のトレイルを下る。


登山口すぐにある滝の上温泉「滝峡荘」山小屋のようでとても良い雰囲気。山中で当日予約を行った。普段は人気の宿らしく、山開き前だから当日でも予約出来たのだと思える。もちろん温泉も最高に良かった。 

秋田駒ヶ岳へと続く。



7.07.2013

裏岩手温泉ハイク 前半

ロングハイクの魅力の一つは、全ての道が繋がっているという事を身体で理解する事だと思う。これまで車や電車など、身体を使わない交通手段を使う事で、飛び地のように分断されてた地理感が、ロングハイクを体験する事で変わる。全ての土地は繋がっていると意識するようになる。これはとても贅沢な感覚だと思う。6月の頭に友達と歩いたハイクを振り返ろうと思いながらつらつらと思いついた事から書き始めてみる...。

僕たちは山開きする直前の東北の岩手、秋田県にまたがる裏岩手の山々を温泉に浸かりながら歩いてきました。歩いてきた山々は八幡平、岩手山、秋田駒ヶ岳になります。

 メンツは僕らと豊嶋さんの3人。3月の八ヶ岳に続き2回目のハイクローグを撮る事も今回の目的です。6月の上旬といえども、東北の山々のほとんどは山開き前、残雪も多く残っています。



5日間の温泉ハイクを歩いた日で色分けしています。

この季節の山々は、山を越えるたびに、冬なのか、春なのか、夏なのか、巡るましく季節が変わるようです。雪だと思えば、新緑に包まれた森の中でセミが鳴いていたり。


バックパックはMINIに試作中のスタッフパックXLを装着。トップストラップに連結して、バックパック上部に装着出来る8Lの容量を持つスタッフパックXLに、食料やレイン関係の道具を入れました。はじめてのニュージランドハイクからこれまで1年以上の時間をかけてテストしてきたスタイルですが、やはり便利だと思いますので、スタッフパックXLはX-pacVX03というX-pacシリーズでも一番軽量の部類に入る防水マルチレイヤー素材を使ってこの秋に発売する予定となっています。

バックパックの重量は水を含まない状態で、僕のMINIは8.4kg、嫁のMINIは5.6kg。残雪が多く残っているので用心の為にCAMPの軽量アイスアックスやクランポンも持っていく。クラウンポンは僕は刃が長めの4本爪の簡易クランポン、嫁は10本爪のKahtoola KTSスチール690を選択。シューズは僕はスポルティバのラプター、嫁はモントレイルのバッドロックのハイカット。バッドロックはアウトドライという防水素材を使ったシューズで残雪期のハイクにはとても調子良さそうだった。 
ハイクを終えてみると、残雪期のグズグズの雪には刃が長くても4本爪では全然ダメで、10本爪ぐらいないとクランポンの役目を果たしてくれなかった。


DAY01

 鎌倉出発の深夜バスにのり、新橋で豊嶋さんと合流(別々に取ったはずの席が偶然となり合わせのだったのにはお互い笑いました。)朝に田代湖に到着。駅周辺にはコンビニもなく、どこのお店もやっていない状態。バスで玉川温泉へと向かう。当初の予定では、玉川温泉からすぐに山に入る予定だったけれど予定を変更。「裏岩手の温泉ってすごいらしいよ。オンドルって知っている?」という話を皮切りに、ストイックなハイクは温泉ハイクへと変わっていきました。

玉川温泉ってこんな所

まずは到着してすぐに玉川温泉に入る。お湯は痛いぐらいに酸性が強い。
温泉の気持ち良さに深夜バスで疲れた身体が心地良く、次の温泉まで歩かないでバスに乗って行こうという事に決定。1時間後に来るバスに乗換える。



 後生掛温泉。また違った感じの泉質。昔ながらの湯治場で、オンドル小屋は大部屋の素泊まりだと安い。寝泊まり、食事をとる畳部屋の床が地熱で暖かく、寝ているだけで癒されるという天国のような場所。地産のつまみや地酒。そしてなによりも温泉たまご。美味しかった。何日も泊まりたい。

後生掛温泉ってこんな所


 後生掛温泉でゆっくりと温泉につかり、温泉たまごをつまみに、日本酒を呑み始めてからハイクをスタート。残雪の中に水芭蕉がきれに咲いている。道にはテープも無く、残雪で道も分からない。途中川に行く手を阻まれて当初考えていたルートを断念。引き返して次の温泉地まで最短ルートの道を行く事にした。


 *写真を撮り忘れたのでwebページから拝借...。

 時間も5時近くになり、終わる寸前の蒸の湯に入る。秘湯の湯会員の湯(ここも素晴らしいが、秘湯といえば玉川、後生掛の方がすごい。)当初の予定では1日目は八幡平まで行く予定だったが... 人が歩いていない残雪期の低山は、ルートが本当に分からない。夕暮れになるとどこを歩いているのか本気で分かりにくくなるので、これ以上歩くのを今晩は止める事にした。


結果1日目は道路沿いのトイレ脇で野宿決定。バスも終了し車も通らなくなる。
道路沿いの残雪の野山を歩いて一日目は終了。


DAY02

日の出と共に起きて焼き玄米で朝食を取って出発。


 八幡平までは道路脇の山道を歩くが、誰も歩かない道の為に目印もほとんど無く、GPSをたよりに八幡平を目指す。




 八幡平ガマ沼 このあたりまでは車でも入れます。


 八幡平から岩手山(写真左手)を望む。


 石沼 この周辺もあまり目印は多くなく、iPhoneのGPSをたよりに進む。残雪は
ある程度締まっていて、雪に沈む事も無く気持ちよいハイクが続く。


 斜面によっては、雪が溶けてトレイルが現れている。雪で薮が埋まっていれば、トレイルに頼らずとも地形を見ながら歩いていけるが、所々雪が無いと途端に薮に道を塞がれるからたちが悪い。


 大深山荘 出来たばかりの小屋らしく素晴らしくきれい。これで無料というのだから恐れ入る。



 
豊嶋さんはテレマーカー(テレマークスキーヤー)で、源太ヶ岳からの急斜面をシュースキー(靴で滑る事をそう命名)で滑り降りる。
僕は恐ろしかったのでアイスアックスで滑落停止姿勢で同じくシュースキーをおそるおそる試してみた。
これは面白い。



 岩手山に向けて松川温泉へと降りていく。途中、トレイルに残雪の雪解け水が流れ込み、沢と化したトレイルを進む。


 新緑の森にヒグラシのようなセミの鳴き声が響く。夏のような輝き。


 昼過ぎに松川温泉に到着。岩手山に向けてもっと歩いていこうとも考えたけど、二日目はここで終了して温泉を楽しむ事にした。


 松川温泉には地熱発電所がある。日本有数の地熱地帯らしい。


 地図にはキャンプ場が記載されていないけれども、松川温泉にはキャンプ場がある。
ハイク終了後と宴会終了後の2回に分けてそれぞれ違う温泉を楽しんできた。


僕らは、ツェルト2ロングバージョン。
豊嶋さんはウエスタンスタイルで星空を見ながら気持ち良さそうに眠っていた。


 宴会、温泉、ハイクが続く。後日後半をアップ予定。