11.23.2012

北アルプス9日間 親不知〜上高地 DAY6 - DAY7

DAY6

ロッジくろよん〜奥黒部ヒュッテ



ロッジくろよんから、平ノ小屋までの道は、思っていた以上に気持ち良かった。午前中の気持ち良い光が溢れる中、静かな湖畔沿いの道をずっと歩いていく。



平ノ小屋の近くで、渡し船を見つける事が出来た。渡し船が動いていないかもしれない。という謎も昨日分かった。黒部ダムからこちらの方面に入るのに黒部ダムを管理する東電による通行止めの看板が貼ってあったのだ。実際に通行止めとしているのはこの道では無いみたいだ。


 渡し船が出るまでに時間があるので、雨で濡れたテントを乾かして少し昼寝をする。

 そのうちに、五色ヶ原方面から女性2人組が下りてきたので、干しているテントやザックを片付けて少し話しをした。立山から薬師岳を回って黒部ダムに下りて来る予定が、トレランシューズを履いてきたところ、途中で足をくじいてしまったらしい。計画を中止してテーピングを巻いて五色ヶ原から下山してきたようだ。本当は登山靴を履いてくる予定が、登山シューズが壊れた為にトレイルランで使っているシューズを履いてきたと話をされていたように記憶している。背負っている装備もUL装備ではなさそうだ。重たいバックパックにローカットのシューズは相性が悪いようだ。僕も今回のハイクでモントレイルのマウンテンマゾヒストを履いていたが、正直良いとは思えなかった。これはこの靴が悪いというわけではない。(事実好きで今の靴は二代目)岩場が多く、道が不安定なアルプスなどのトレイルで背負うバックパックが重たくなると、柔らかいソールのトレイルランシューズでは、石の突き上げなどを均等にシューズ全体に伝えるだけの剛性が足り無い。結果的に足に負担がかかり膝や他の箇所の故障に繋がる。僕の経験だと8kgを越えてくると靴との相性が悪くなるように感じる。これが奥秩父などの土のトレイルだとどうかというと、10kgでも問題無く気持ち良く歩ける。これは自分の体重や筋肉の強さなどにも大きく影響があると思うので一概にはいえないが、体重が重たい大きな人はより強い剛性の靴が必要になるだろう。体重と靴の関係については身体の大きな村上教授の「野宿大全」でも指摘されている。歩く場所と背負う重量で気持ち良く歩ける靴選びも変わってくるという事を強く意識する事になった。

*少し補足を追加してみます。土のトレイルだと靴底全体で地面をとらえる事が容易なのですが、岩場歩きだと、岩の出ている部分に足を乗せる形になるので、バランスがとりにくい。バランスを補う為にへんに足に力が入る。靴の剛性が強いと靴全体に力が分散されるのでバランスもとりやすい。また荷物が軽ければ、バランスをとるのもあまり無理がかからない。それでも、歩き方が上手ければ解決する問題でもあると思います。僕の歩き方がまだヘタだから出て来る問題でもあります。

  話をしていた女性ともバックパックの重量が軽ければ問題ないけれども。という話になったので、試しに山と道のザックを背負ってもらう。軽さと背負いやすさに感動してもらえたのか、これなら走れると言ってくれた。靴も登山靴ではオーバーなので、アプローチシューズなどの剛性のある靴などが良いのかな。という話も出てきた。確かにFIVE TENなどのアプローチシューズというのはアルプスなどの岩場を歩くのに良いアイデアかもしれない。でも通気のあるトレランシューズも捨てがたい。という場合には剛性の強いスポルティバのラプターとかも良いだろうか。今まで漠然と感じていた事が長く歩く事で色々と整理されて自分の理解へと導かれるのはとても面白い。



 渡し船の時間になったので、お先に失礼して、船に向かった。今回のハイクを黒部経由にした理由の一つがこの渡し船だ。長いハイクの途中で船に乗り対岸に渡ってハイクを続けるっていいでしょ。乗船したのは自分だけ。船を動かすのは平ノ小屋のご主人。釣り竿を黒部湖にたらしながら、ゆっくりと船は進んでいく。対岸には多くの団体さんが船を待っていた。船から下りて黒部の深部奥黒部へと入って行く。



インターネットの情報では、ロッジくろよんからこちらの道は梯子も多くて面白くないような事が書かれていたような記憶もあるが、実際に歩いてみると、自分にとっては最高のハイキングトレイル。どおってことの無い道だけどすごく気持ちよかった。自分は土や森が好きなんだな。と改めて思う事になった。



午後前には奥黒部ヒュッテに到着した。今日はもう動かない。このハイクはじめての休息日。昼間からビールを飲んでゆっくりとテントの横で昼寝をして、裸足であたりをうろついて、川で靴を洗ったり、水浴びをして楽しんだ。


DAY7

奥黒部ヒュッテ〜雲の平

とうとうこのハイクも後半へと進んでいく。
読売新道は長く辛いといろいろな所で聞いていたので朝日が出る前に歩きはじめた。



読売新道聞いていた印象と全然違っていた。登りやすいし、歩き易いし、森の雰囲気も良くて、すごく気持ちよい。




 一気に稜線まで上がりきる。振り返れば、これまで歩いてきた山々が遠くに見える。遠くの遠くのさらに遠くの山の向こうから歩いてきた。もうハイクが気持ちよすぎて、叫びながら歩いていた。ヤホー!!




心はウキウキで水晶岳を目指す。右には嫁との合流地点の雲の平も見える。
右下には秘湯として有名な高天原も見える。高天原は上から見るとなかなか良い雰囲気。
ただ、ここから下りてまた登り返す気にはならないので先に進む。
水晶岳からは100名山を目指す登山者が多くなる。自分一人の時間も終わりを告げた。



 水晶小屋でカップヌードルを食べる。嫁はもう雲の平に着いている頃だろうか。と考えながらビールも飲む。
 

 鷲尾岳の分岐の所にさしかかると天気が急に悪くなり、雨がふりはじめた。風はあまり出ていなかったので、雨に関しては傘だけでも十分だったが、少し寒くなったので、上だけレインジャケットを着て歩く。祖父岳を越えて、雲の平が見えてきた。雨も上がり、テント場を見ると遠くに嫁が持ってきたクフの白い三角形がはっきりと目立つ。他にこんなシェルターを持って来る人はあまりいないだろう。






 嫁と一週間ぶりに合流して新しい食事を楽しんだ。写真はBooさんのブログを参考にしたと聞いたコンビーフとクリームチーズのカナッペ。美味しかった。嫁は昨日の薬師岳で山と道のサコッシュを使っている方と会ったと楽しく話しをした。その方は鎌倉ハイカーズミーティングにも遊びにきてくれた。僕もそんな出会いを山でしてみたいものだ。

つづく。