11.21.2012

北アルプス9日間 親不知〜上高地 DAY1-2


 

スタートした親不知からゴールの上高地まで宿泊した場所を記しました。



食料は9日分。食料ごとにジプロックに分けたものを特大のOP SAKに入れる。
OP SAKは消臭というのが最大の特徴で、匂いを嗅ぎ分けてやってくる動物への対策や、ゴミ、食料の匂いなどをシャットアウト出来る。また、特大のOP SAKに入れて背中側にパッキングする事で、適度に背中が固くなりフレームのような役割を果たす。
行動食はスニッカーズをメインにしながらも様々な行動食を用意した。食事は小屋があれば昼飯は積極的に食べたいと考えていた。また、道具や食事の事に関しては現在準備されている某本に寄稿する事になりそうなので、また次の機会に記したい。





 
DAY1



8月25日に池袋から高速バスで直江津に向かった。直江津に着くとちょうど朝日が登り始める。少し歩いて駅に向かう。1時間ほど始発を待ち、その間にハイク中に使うウォーターボトル(ペットボトルの水)とか、朝飯をコンビニで食べて時間を潰す。


 山と道U.L.FramePack ONE CTF3 Cuben Fiber edition.
過重最大重量の状態での北アルプスのロングハイクという
前から試してみたいテストを行う事が出来た。

日本海をみながらの海沿いの北陸本線は、なんとも旅情を誘う。今回は久しぶりに途中までは一人でのハイク。思う存分に歩きたいと思った。日本海から北アルプスを目指して歩き、北アルプスを縦断するハイク。去年は計画しながらもタイミングがあわずに断念。今年になってようやく実行に移す事が出来た。稜線をずっと歩いていくか、黒部に下りて、温泉を巡りながらハイクをするかで悩んだが、峠をいくつも越えて、温泉を楽しみながらのハイクはなんともハイカーらしい試みだと思い今回のコースとなった。7日目あたりに、雲ノ平で嫁と合流して、当初は穂高、ジャンダルムを越えて新穂高を目指したいと考えていた。
 


無人駅の親不知には自分以外にも2人程下りた。駅周辺には何も無い。駅から1時間程海沿いを歩いて栂海新道の入口を目指す。



日本海をスタートとする。僕は親不知をスタートとしたが、多いのは新穂高を出発し、この海をゴールとするスタイル。長期のハイクを終えて、身体ごとこの海に飛び込んで終わるのだ。僕は出発する所なので、眺めるだけにした。0地点から雲の上に向かうというのはなんとも心が高揚する。ここから長いハイクがはじまるのだ。 

今回のハイクを一本の映像としてまとめたいと思っていたので、スタートと同時にGoProで撮影も開始していく。


 

栂海新道の入口。下界よさらばと...。コカコーラを一気飲みして出発。



いきなり道を間違えた。撮影しながらハイクしていたのが一番悪かった理由なのだけど、撮影のテンポを崩したくないので、あまり確かめずに、栂海新道の入口から入ってすぐ目の前にあったテープをたよりに山へ分け入って入ってしまった。
 なんとなく栂海新道はハードなイメージがあったので、いきなりテープで道が無いのにも、「おおォ流石にハードな道のりだな。」と心で思うぐらいで、道がおかしな事よりも高揚感が勝った。30分ぐらい進んだ所で、どう考えてもおかしい。道が無いと思い、iPhoneのGPSで場所を確認する。あきらかに道からずれている事を確認して栂海新道の入口まで戻る。



実際の栂海新道はとても良く整備がされているトレイルだった。トレイル沿いには、栂海新道を切り開いた地元のサワガニ山岳会が制作した鉄製のサインが定期的にたっている。
この長いトレイルを切り開き、整備して、山小屋まで作り出してしまうサワガニ山岳会には本当に頭が下がる。



登りはじめは、クモの巣を払いながらの山歩きとなった。あまり人が歩かないのかな。と思っていると時期に若い2人組とすれ違う。この先のクモの巣は払っておいたよ。と心の中でつぶやく。多分彼等もクモの巣を払いながら歩いてきたのだろう。 2人と出会ってからはクモの巣に悩まされる事は無かった。


海からの登りはとても暑く、身体を汗でびっしょりと濡らしながら、水を多く消費する。
若い2人組以外にも数組のハイカーグループとすれ違った。水場ではバンダナでゴミを除去しながらセイシェルに水を入れて濾過して飲み水を作る。セイシェルのフィルターはゴミがつまってくると水の出が悪くなる。はじめに使っていたフィルターがダメになり新しく交換した時の水の出易さに感動した。もうあの水の出の悪さには戻りたくない...。

途中大きなアブに襲われながら、虫避けを持ってこなかった事を後悔する。
しつこい攻撃に辟易して、途中走ったりしながら、アブの攻撃から逃げる。
標高が低い夏の山は虫がいる。




白鳥山の頂上に近づくと、雲の中へと突入し、あたり一面がガスに覆われた。夜行バスは満足に眠る事が出来ないから、1日目の行動はつらい。頂上付近にある白鳥小屋(避難小屋)を一泊目の宿とする。夕方になっても誰もこないから今日は独り占めかな。と思って寝ていた所に、沢から上がってきたパーティが上がってきた。ウェットスーツを着込み2泊の行程で沢登りを楽しまれてきたようだ。気温の高さから日持ちしそうも無い食料を初日でほとんど平らげようと思い、食べきれないチーズなどをおすそわけする。


DAY2

今日は朝日岳を目指す。コースタイムで14時間15分。
夜明け前の暗闇。頂上付近はガスで覆われていて風が出ている。月明かりも届かない暗い森の中へと入って行くのはなんとも心細いが、ヘッドライトで夜を歩く緊張感はきらいじゃない。


何も食べないで歩きはじめて、お腹が減ってきたら、あんぱんやスニッカーズを歩きながら食べる。少しずつ空が明るくなってくる。夜明け前のガスも風も夜明けとともに無くなる事も多い。こんな瞬間が僕は好きだ。


 途中多くの登山者グループに出会った。この先にある栂海山荘には数十人寝泊まりしていたのだろう。大学や高校の山岳部や年配の登山者達。年々栂海新道を歩く人が増えていると聞いた。


栂海山荘
良い雰囲気の避難小屋でした。

多くの人にすれ違ったが、小屋に着く頃には誰にも出会わなくなった。朝日小屋から向かって来るグループに出会うまでは静かでゆっくりとしたハイクを楽しめるだろう。少し休んでから出発する。



栂海山荘を越えるとようやく稜線へと出る。谷川岳周辺のような雰囲気の気持ち良い稜線歩きを楽しめた。


黒岩山を越えると栂海新道から北アルプスへ入ってきた事を実感してくる。
黒岩平の水場で休憩して昼飯とする。稜線近くの水場は天国だ。顔を洗い、足を冷やし、身体をふき、ゆっくりとぼーとする。


歩きはじめていくつか変な感じのする箇所には、バンソコーやテーピングなどをはってあらかじめ処置をしておく。痛くなってからだと気持ち良いハイクがしずらくなる。




 黒岩平〜アヤメ平周辺は、湿原となっていて、池などが点在していてとても美しい。
途中ガスに巻かれた。


 花の季節はもう終わりで、花は少なかった。花の季節を想像する。


暑い夏が過ぎつつももまだ残雪が残る。冷たい残雪の水が流れている。


 朝日岳頂上 朝日岳頂上に着く頃には気持ちよく晴れて、夏山らしい大きな入道雲が立ち上がっているのを見る事が出来た。

 finetrack×Hiker's Depot ツェルト2ロング ステルスVer. 
今回はじめてツェルトを使ってみた。

白鳥小屋を朝4時前に出発して3時30頃には朝日小屋に到着した。12時間程で到着出来た事になる。途中大学の登山部や年配の大所帯のパーティに出会ったが、歩く人は多くは無く、終始山は静かでとても気持ち良いハイクを楽しむ事が出来た。朝日小屋は北アルプス唯一の公衆電話があるらしい。嫁に電話して今の所は予定通り歩けていると報告する。3日目は予定では白馬岳を抜けて祖母谷温泉へと下りる予定。コースタイムは約16時間。朝日岳までの道のりで膝への負担がけっこうきていた。白馬岳で1泊するか、歩き抜くか...。ビールを呑みながらどちらも視野に入れながら歩こうと考えた。まだはじまったばかりだ。

つづく。