6.16.2012

台高山脈縦走 前半1日目



山と道 Exhibition Tour 2012 Summerの途中。神戸の隣、芦屋にあるスカイハイマウンテンワークスから、翌週開催の三重県の四日市市にあるモデラートでの開催までの約1週間。奈良から三重まで歩いてみたいと思った。
 実際には、展示の撤収や次の展示の準備などで時間は割かれ、多くて4日間の山行の結果、海まで歩く事は叶わなかったが、心に残る、山歩きを楽しむ事が出来た。

山は深く静か。山の花は満開で、開かれた山道は無く、サインと地図をたよりに、獣と人の踏み跡を確かめながら歩く道。

僕らが歩いたのは、紀伊半島を縦に走る台高山脈。
紀伊半島のロングトレイルというと、代表的なトレイルとして大峰の奥駈道を思いつくが、こちらは途中、信仰上の理由で女人禁制区間があったりと、山と道の2人でスルーハイクする事が出来ない。また以前に、弥山周辺を3日セクションで歩いてみた事もあったので今回はパスすることにした。

台高山脈は、詳しくは知らなかったけれども、TVで、台高山脈の起点、終点として選ぶ事も多い大台ケ原を紹介する番組を見ていて興味深く思っていた。熊野灘から上がる雲が山にぶつかり雨を振らす為に、屋久島に次ぐ降雨量があるらしい。多くの雨が豊かな森を作っている事を想像する。奈良から山を歩き、海へと抜けて三重へと入る。関西から東海へと向かう山と道のツアーとしてはとても良い企みだと思った。

山と道が歩いた行程 

早速地図を取り寄せてみて見ると、ほぼ全てが破線ルートだった。今回装備や情報など大変お世話になった関西のパンダマンさんに相談をしてみると、けっしてお勧めのトレイルでは無いらしい。薮も多く、トレイルも不明瞭、水場も多くは無い。有人小屋はもちろん、避難小屋も無く、歩く人もいない。パンタマンさん曰く「時速2kmのトレイル」との事。それでも、よりワイルドに自然に接しながら歩く事を楽しめるのでは無いかと考えた。当初は台高主脈縦走の定番コースとなる高見山から大台ケ原まで歩き、大台ケ原から尾鷲道に入り、山から熊野灘の海へと下りるルートを考えていたが、今回は日程的に難しいと分かった。パンダマンさんに相談した結果、高見山周辺は人工林も多くあまり面白くなく、台高の自然を思う存分に楽しむなら明神平からはじめるのがいい。というアドバイス通りに歩く事に決めた。いつも僕はそうなのだが、歩き始める前は、行程をかなり多めに空想する事が多い。今回も早く抜ける事が出来れば、尾鷲道を歩いて熊野灘の海まで歩きたいと思っていた。

前日の夜には、タクさん、ノリコさん、ビヨンドさん、高木さん、スカイハイマウンテンワークスの晩餐会に参加させてもらった。ハワイのローカル料理というフリフリチキンはこれまで食べてきた中でも最高の味のチキンだった。ノリコさん手製のピザを食べて、最後の締めはいつものおとめ塚温泉。3日間最後までお世話になった。
少し飲み過ぎてしまった事と、展示会の疲れから、朝起きる事も出来ずに始発のバスに乗り遅れた。 
通勤の時間帯に電車に乗った事で今日が平日だったと強く認識した。
山と道の生活をしていると、曜日感覚が無くなってしまう。鶴橋で乗り換えする際に、駅前で立ち食いうどんを食べた。東京の濃い味と違う、薄くてとても美味しいスープだった。


明神平には大又林道から入る事にした。バスは榛原駅を10:12分に出発する。
1時間程バスに揺られて、終点の大又で降りて登山口へ向かう。


登山口では、はじめて「山と道の夏目さんですか?」と声をかけてもらった。うれしいやら、恥ずかしいやら。大又林道から明神平までのトレイルは途中見事に崩壊していた。歩くには問題は無かった。

山の雨では傘がとても便利だ。

天気予報では最終日までの二日間は天気マークが出ていたが、林道歩きから山歩きに変わる頃には遠くに雷の音が響き、晴れた空は、どんよりとした曇り空へと急変していった。雷雨がはじまり、一気に山は暗くなる。大粒の雨が降る中、傘を開いて雨を防ぐ。稜線沿いの風の強い場所でなければ傘が良い。レインジャケットは取り出して、着る前に濡れてしまう。レインジャケットを着るなら、とりあえず傘で雨を防いで、雨があたりにくい大きな木の下でレインジャケットに着替えたい。

僕らの雨装備

Swing liteflex umbrella 227g
GOLITE Dome Umbrella 202g

レインジャケット
OMM サイファースモック 256g
モンテイン スペクトラスモック 214g

レインパンツ
3M カッパメイト 104g

高所の稜線のよほど風が強そうな所でなければ、僕は最近夏にはレインパンツを持って行かない。上半身は濡れると危険だけど、下半身はそうでも無い。素足は濡れてもすぐに乾く。


雷雨はすぐに通過して、晴天の青空へと変わった。明神平までは何組かのハイカーと出会った。平日でも明神平までは歩いている人は多いらしい。


 明神平周辺は、とても開けている。山小屋はあるが開いてはいなかった。テント適地も至る所にあり、ここで泊まって帰るのもまた良いだろうと思う。鹿も多く明神平から明神岳に向かう途中 10匹程の鹿の群れを見る事が出来た。


夕方頃には小雨がまた降り出したので、明神平から一つ目のキャンプ適地の手前のトレイル脇にシェルターを張った。一晩中雨は降り続いた。