6.16.2011

山と道 U.L.FramePack ONEのコンセプト その2


「日本という環境化で有効的なU.L.バックパックを作りたい。」

ある程度の重量も、快適に背負えるU.L.バックパックを作りたい。」というコンセプトともう一つ、「日本という環境化で有効的なU.L.バックパック」を二つ目のコンセプトに掲げました。自分たちがJMTに行って感じたことは、日本の環境との違いでした。そして、U.L.バックパックは、このアメリカのトレイルという環境から生まれたデザインだという事を強く意識しました。私達が歩いたコースは、大きなアメリカのトレイルのほんの一部ではありますが、以下のように私達は感じました。

アメリカのトレイル

1)アメリカのトレイルは良く整備されており、日本のように岩場、鎖場が少なく、急な登りもなく、ずっと歩き続ける事が出来る。ネットの大きなポケットにたくさんの荷物をつっこんでも落ちる心配が無い。

2)雨も少なく、良く乾燥しており、汗が染み込む事も少なかった。
クローズドセルのマットを背中に付けたり、背面がメッシュでなくても、あまり汗が気にならない。

日本のトレイル

1)岩場や、鎖場も多く、急な登りも多い。時には足だけでなく、身体全体を使って動くときもある。
荷物が落ちないか心配な時もある。
岩場が多く、バッグを置いた際に、ボトムの耐久性が心配。

2)湿気も多く、夏はよく汗をかく。
背中の汗が、気になる。

3)雨も多い
メッシュポケットだと濡れが心配。

4)場所によっては、人がとても多い。時には行列のようにもなる。
メッシュポケットにぐっちゃりとつっこんだ荷物が気になる人もいるだろう。
*これが、いいのだ!というのも非常に共感もしますが...


山と道 U.L.FramePack ONEは、以上を踏まえて

1)岩場も多い日本での使用を踏まえて、
フロントの大型ポケットにプラスして、約2.5L程の容量が入る止水チャック付きのポケットを付けました。大事な荷物を入れられるという事と、自分の経験では、ロングハイクでフロントの大型ポケット一つだと、物を探すのに手間取り、もう一つ大きなポケットがあると便利と考えました。
そして、岩場にも荷物を置く事が多い日本の環境を踏まえて、ボトムには、Xpac VF-21という素材を使用しています。210Dのオックスフォード生地に、強靭なダクロン繊維をダイヤ状に配置し、さらにフィルムをラミネートした、強靭で防水なマルチレイヤー素材です。



本体の生地と同じく、このファスナーも、お客様が自由に色を選び、カスタムオーダーが可能です。ポケットの中には、大事な鍵などを取り付けられるフックも付いています。
*止水ファスナーは完全防水ではございません。

Xpac VF-21 マク◯スのような名前です。


2)背中のムレに対して
背面にまずは、メッシュを付けました。


そして、一番熱い夏シーズンのハイクのために夏用の背面パッドを別途用意しました。(今回の販売分ではまだ、盛夏のテストがしっかりと出来ておらず、本来は別売りの商品として検討しておりますが、試験中という事を踏まえて付属品として、今回の受注会のお客様にお付け致します。)従来の背面パッドはクローズドセルの背面パッドが使われているかと思います。スリーピングマットにも使われるクローズドセルのウレタン素材は、熱伝導率が低く、熱が逃げない為に、どうしても熱がこもってしまいます。各社、ウレタンに溝をつけたり、穴をあけたりしていますが(自分たちも通常の背面パッドには穴を空けて対処をしているのですが..)、素材がウレタン素材である以上、本質的な解決にいたりにくいのではないかと考えました。


クローズではなく、そもそも素材が開放的で、空気をバンバンに通し、かつクッション性のある素材。
私達が目を付けたのは、日本のメーカー東洋紡が開発したブレスエアーという素材。
樹脂で出来た、白いインスタントラーメンのような素材。熱がこもる。という事も無く、クッション性能もある素材です。ただ、弱点は素材としては重たいという事...。お客様のハイキングに応じて、背面パッドを選択いただく形で、快適なハイキングをお選びいただきたいと考えました。


           上が標準で入る背面パッド、下がブレスエア


3)雨も多い事に対して、
バックパック全体を覆うポケットには、70D PU Coated ripstop nylon fabricを使用。
特別な素材という分けではけっしてありませんが、ウレタンコーティングされた素材は、多少の雨をはじきます。*バックパック自体は完全防水使用では無いため、雨の中を安全に歩ける事を保証するものではありません。


4)場所によっては、人がとても多い。時には行列のようにもなる。
フロントの大型メッシュポケットにたくさんの荷物を入れると、時には汚らしく見える事もあります。これがいいんだ!という気持ちは僕もすごく共感するところでもあるのですが、たくさんの荷物を入れても、あまり気にならない不透明のポケットでも良いのでは無いかと考えました。自分たちがJMTに行った際には、U.L.バックパックを使っている人がたくさんいるのではと思っていたのですが、タイミングの問題かもしれませんが、実際は、日本のトレイル事情とあまり大差も無く、オスプレイを使っている人が多く、U.L.でもゴーライトのJAMが良く目立っていました。そんな中で、大きなメッシュに荷物を詰め込んでいる僕たちは、まあ、誇らしい所も感じつつも、ちょっと汚いかな...というのも少し気になったものです。これが一番という事ではなく、こういったU.L.バックパックの選択肢もありだと考えました。